患者として人生に向き合う第7回 患者会の「仲間たち」
私の通っている病院には、通称「移植部屋」、すなわちクリーンルーム(無菌治療室)のある13階にちなんだ十数年の歴史がある「13会」という患者会があります。
春と秋の年2回の会合を開いています。
まぁ、要するに飲み会なのですが(笑)。
この会には毎回、移植経験者やそのご家族、医師や看護師、移植コーディネーターといった医療スタッフなど総勢50人くらいが集います。
人数は多いのではないでしょうか。
私が初めて参加したのは退院した翌年の14年5月11日のことです。
2回目はDLI(ドナーリンパ球輸注療法)の入院が肺炎で長引いたために、参加は叶いませんでした。
しかし、それ以降は「皆勤賞」です。
おかげさまで現在は会の幹事を務めています。
この会のよさは何といっても、移植を受けて十何年も経っている方たちが、今でも元気に暮らしている姿に希望と勇気をもらえることです。
いずれ自分もそのひとりとなって、誰かを元気づけられる存在になれるといいな、とも思っています。
さて、会が始まると、参加者一人ひとりが近況報告をすることになっています。
しかし、何しろ酒の席であるうえに、人数も人数なので、真剣に聞いている人などひとりもいません(笑)。
それでも皆さんニコニコしながら、とても誇らしげに楽しくお話しをされるのです。
それでも内容は、結構シビアな話だったりもするのです。
「前回はニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎、免疫低下時に発症する、日和見感染症のひとつ)のために参加できませんでした」
私もこれまで記してきたように苦難の連続でしたから、痛いほど理解できます。
それでも皆それぞれにいろいろなことと闘い、それを乗り越えてここにいるのだという喜びを分かち合う場でもあるわけです。
ただ残念ながら、参加が叶うのは移植を受けた人の一部に過ぎません。
口には出しませんが、それは参加者の誰もがわかっています。
「そうか。○○さんは旅立たれたのか」
心が締め付けられます。
医学が進歩したとはいえ、白血病が厳しい疾患であることに変わりはないのです。
先生方からも近況報告をしていただいています。
「僕たちもここにおられる患者さんから元気をもらっています。僕たちが前を見て患者さんの治療に向かえるよう、どうかずっと元気でいてください」
そう励ましてくれるのです。
とても勇気づけられます。
秋の会は間もなくやってきます。
実は、その会とは別なのですが院内で年4回開催されている患者会があります。
これは、移植前や移植後で退院間近の入院患者さん、もしくは治療中でつらい状況にある患者さんのご家族を対象としたもので、私たちのような卒業生と情報交換を行うことを主な目的としています。
この連載でも何度も記してきましたが、「まさか自分が白血病に......。なぜ」と心が乱れます。
しかし、気持ちを整える猶予は与えてもらえません。
移植前で不安を抱える患者さんの気持ちはよくわかります。
「僕はこうでしたよ」
私の経験をお話しすることで、「先が見えない不安」をわずかでも和らげ、心の準備を整えるお手伝いができたらいいなと思って参加しています。
連載に踏み切った原動力のひとつがここにあります。
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